地震は地殻にたまったエネルギーが発散することによって起こるのだから、いままで地震のなかったところでも、現在エネルギーが蓄積され続けており、むしろ次に大地震の発生する可能性が大きいといった考え方もある。この立場では意味するところは全くの逆、ネガとポジほどに違ってしまうではないか。終戦の直後ころ、こういった議論が盛んに交わされた末、一九五〇(昭和二五)年に従来の「市街地建築物法」の内容をより充実したものとして、新たに「建築基準法」が公布され、この中に河角マップに基づく設計震度のゾーニングが取り入れられた。
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議論は、関東大地震の貴重な経験の上に、かなり余裕を見込んで決めた震度〇・二なのだから、地域によって特に大きくする必要もあるまい。もともと狭い日本だし、ネガポジ理論もむげには退けられないから、地域によってあまり大きい差はつけないで、たとえば東京と福岡を○対〇・八、つまり福岡では二割がた震度を低減できる程度にしよう、といったことで、結局マップが採用されることになった。ただこういった議論の場を通じて、河角広・金井清らを代表格とする地震学者と、工学者グループとの間に、関東大地震以後ややとだえがちだった協力と意見交換が、活発に再開されたことの意義は大きい。
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